「ちょっと、最後に一言!!」

  再び、お世話になりもす! Toshiごわす!! いきなり生まれ故郷の薩摩弁でのご挨拶になりましたが、バンフタイムズ愛読者の皆さん、本当にお久しぶりです。 「え? お前なんか知らん!?」 ごもっともです。99年1月号から2001年11月号までのコラム欄でお世話になった鹿児島産、名古屋(+カナダ3年)育ちの牧師です。
  この度、舞い戻って来ることになりました。よろしくお願いします。わずか3年間だったのに、カナダが心の故郷になってしまい、あの松尾芭蕉じゃありませんが、「カナダや、あぁカナダや、カナダや」(字余り)と、雄叫びをあげ、また「カナダに行く」と告白し続けていましたら、何と前回と同じく誕生月にカルガリー空港で、あの凛とした空気を胸いっぱいに吸い込んだ次第です。皆さん、告白って大切ですネ。大事にしたいと思います。

緊張の入国審査

  思えば、その到着の次第はミラクルの連続。そのひとつがバンクーバー空港の税関での出来事・・・。
  そのとき、税関に近づく私の心臓は、周りの人にも聞こえるほどに脈打っていた。脳裏には日本の同僚の声がよみがえって来ていた。「今回、カナダには片道切符で行くわけだけど、ビザも取れていない状況で乗り込んだら、テロ後の今の厳しい審査にパスできずに強制送還される確率が高いよ!不審と判断され、2、3日の冷飯を覚悟して行ったほうがいいな!」と真顔で忠告してくれた。
  そう言えば、航空会社担当者も同じような助言をしていた。私のビザは事前には取得できず、入国時に理由を説明して入手する以外には方法がない。その上、まさに戦艦大和ならぬ片道燃料とも言える片道切符での渡航だ。心臓が沸点を明らかにオーバーしそうなそのとき、私たちは税関の窓口に達していた。
  係官の事務的な質問に全神経を集中して答える。「目的は?」 「滞在日数は?」 長い質問の最後に、「ところで、なぜ片道切符?」 (で、出た! )しばしの沈黙・・・。用意していた答えが出て来ない。代わりに、いろんな答えが頭を行き巡る。「ここで骨を埋める覚悟で・・・」とか。でも下手に、骨を埋めるなんて言ってしまったら、警察へ直行かも・・・。
  何と答えたのか覚えていないが、先方の質問はやっと終わったようだった。同伴の妻に、OKかな!? と目で合図を送ったそのとき、事務的係官の目が真剣になり、私たちの方にその焦点を合わせ、威厳を持った声で言った。
  「ちょっと、あなたがたに最後に言いたいことがある!!」
  体中の血液が逆流した。(あぁ、ついに、やっぱり! )哀れみを請う被告者のような目で係官を見て、彼の放つ言葉を待った。しかし、彼の事務顔は小羊のような柔和な顔に変わっていた。
  「あなたたちのこの国での働きが大いに用いられ、祝福されますように!!」 
  何と、励ましの言葉だった。夫婦で耳を疑った。でもその疑いを払拭するようなスマイルで、係官が何度も首を縦に振ってくれた。喜びの心が、一瞬にして開かれた道に弾け飛んで行った。 

考になる聖書の言葉
 「あなたの道を主(神)にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。」(詩篇37:5)

 

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