緊急病院初体験の巻」
 「う〜ん」夜通し痛烈な痛みが腹部を襲う。カナダに来て初めての神経性胃炎。3年前に日本で同じような症状を味わったが、今回のはまるで痛みなどの大きさが違う。以前、胃に穴が開いたら28時間以内に手術しないと葬儀屋のお世話になるよ、と医者から脅されたことがあった。職業柄、「いよいよ天国か、ハレルヤ!」なら、模範的な牧師なんだが、されど我も人の子、「まだ、天国の宿にはステイしたくなーい。せめて、子供たちの結婚まで!」。天からのささやき「ホントにそれでいいのか?」に、「いや、孫の顔を見るまで!」と延命作戦に出る。そうこうしている間に痛み疲れて寝てしまった。

 目が覚めると、ブラインド開けっぱなしの窓から、まばゆいばかりの朝日。寝ぼけている自分は、「やっぱり天国に来てしまったか・・・」。でも、すぐにお腹の痛みで我に帰った。この日、神は、病院嫌いの自分のためにはるばる隣町から使いを送ってくださり、救急病院で診察していただくことになった。

 異国の地で初めて診察台の上に仰向けになる。診察台がよけいに冷たく感じる。
看護婦さんが来られる。なんと私服。白衣に慣れている自分にはかえってリラックス感が与えられた。そして、自然なスマイル・・・

 このスマイルに日本でまんまと裏切られた経験がある。スマイルが白衣を着たような日本の看護婦さんが、点滴の時「ほんのチクリですからねぇ。」ウインクまでして、こちらの緊張感を緩める。その矢先、稲妻が走ったような痛み。彼女の腕が未熟だったのか、今では知るよしもないが、その日以来10日間、朝昼晩、激痛とのお付き合いがあった入院生活の光景が走馬灯のように浮かんできた。
だから、看護婦さんのスマイルには少々違和感がある。でも、こちらはそうではないようであった。

 続いて医者が来るまでの間、診察室に緊迫感がみなぎる。どんな医者かな。緊張のせいか、腹部の痛みが遠慮してどこかに隠れてしまった。

 「Hello!」現われたのは、なんと、女医さん。私服、金髪、青い目。映画のロケの現場か?と間違うようなご登場。
診察台の上の「まな板の上の鯉」状態の物体は、さらに冷凍庫状態。解凍されないままに、「ここ痛む?」青い目に質問される。
昨夜までもがき苦しんだこの男、何を血迷ったか、「ぜーんぜん」と答えてしまった。
きっと映画キチガイのこの男、西部劇で腹部を打ち抜かれた主人公が、ヒロインに『大丈夫?』と聞かれて、『な〜に、かすり傷さ』とでも言うように、カッコつけてみたい心境が本能的に出たのか?

 結局、「また痛くなったら来てね。」と帰らされてしまった。

 他人事みたいに書いてますが、実はそのおかげで、今では胃の調子も「ぜ〜んぜん」大丈夫、告白通りになってしまって感謝の毎日です。

 それにしても、薬をリュックがふくれるくらい沢山出し、即入院させる日本と違って、カナダの医療は何とクールな対処の仕方なんだろうか。過保護または、算術中心の日本の医療界にとって、是非見習いたい部分であると痛感したこの数日でした。

 なるほど、だからカナダ人はたくましいんだ。

・・・参考になってしまう聖書の一言・・・

 「自分のことばを控える者は知識に富む者。心の冷静な人は英知のある者。」
(旧約聖書 箴言17章27節)

 

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