「アデランス・ブラザーズ
 
 「わぉー!坊さんみたいッ!」
久しぶりに床屋に行った直後の私のヘアスタイルを観察し、私の奥さんが思いっきり冷やかした。「キリスト教の坊さんだからこれでいいのだ!」と反撃ののろしをあげる。数時間後、一風呂浴びて、キチッと髪を整えて、ドカッとソファーに座る。隣に座ってテレビの連ドラに見入っていた奥さんが、「び、びっくりした〜。やくざかと思ったぁ!」と本気で驚く。それならと、こちらも調子になって、「オラオラ、おれに、茶なんぞ、持って来んかぁ!」とすごんでみせた。奥さんの反応、「かっわゆ〜い!!」だった。やはり育ちの良い私には所詮やくざのマネは無理か…?!

 実は、久しぶりに知人のO氏とともにカルガリーの理容院に行った。予算制限と言葉の壁のために、今まで気に入った仕上がりをしてもらった経験がない。O氏と彼の奥様が、先日散髪のことで話されているのを聞いた。その話によると、かなり短く刈り込まれ過ぎて、奥様の目にどうもかなわなかったらしい。しかし、本人は「この先暫くは行かなくてよいから経済的なのだ。」とかなり楽天的である。
 一抹の不安を覚えながらも二人して並んで、刈り込んでいただいた。カナダの床屋さんはよく話しかけてくださる。「彼は、あなたのパパか?」「あんた、学生さん?」とか、「家族は?」などなど。そのうち「年齢は?住所と職業は?出身は?」とか。警察の尋問になってきそうな雰囲気。

 O氏を散髪していた年配の理容師が、O氏に「頭の上のほうに毛があまりありませんね。」と見事に気をつかわないお言葉を御進言なさった。O氏の反応やいかがかと思いきや“You too!”と見事な反撃をされておられた。

 そう言えば私の髪はどちらかと言えば理性派の減り方。つまり前線総退却型。O氏のはどちらかと言えば中心点爆破型かな。どちらが危険かよーく考えてみようと思い巡らしていた矢先、散髪が無事終了した。「いかが?」とバックに鏡を当てて感想を聞かれる。こう質問された時は、マニュアル通り「エクセレント!」と笑顔でご挨拶。全員平和の親善大使よろしく、笑顔で別れを告げた。
 頭部をなでながら店を後にする私たちの後姿を見ていた彼らは、きっと私たちを「アデランス・ブラザーズ」と呼ぶであろう。雨上がりの涼しい風が、自分の髪の毛に手をやる二人の胸中を察するかのように、背中から包み込んでくれた。

あなたも励ましを受ける聖書の中の一言
「ですから、私たちは勇気を失いません。たとえ私たちの外なる人は衰えても、内なる人は日々新たにされています。」  (コリント人への手紙第二4章16節)

Therefore we do not lose heart. Even though our outward man is perishing, yet the inward man is being renewed day by day...
(2 Corinthians 4:16 )


 
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