「夏だ!大漁だ!BBQだ!
 
 「釣り、行きましょう!」先日からステイしている釣りキチの娘さんから、お声がかかる。彼女はお母さんと姉さん、それに姉さんの子供さんとカナディアンロッキーの観光中。現在BC州に住む彼女は、高校の先生で、トライアスロンにも挑戦、自他共に認めるスポーツレディである。

 釣果のなかったアイスフィッシングは別として、本格的な釣りは20数年ぶり。釣り上げた時のあの感触はほとんど希薄になってきていたので、その話に乗った。彼女をリーダーに総勢6人。夕食の食卓を想像しながら出発。まずはライセンス購入から。ここカナダでは、「アッ、川だ、魚だ。ソレ、釣りだ!」という調子にはいかない。許可が必要だ。経済性を考え、彼女と私の分だけの購入に決めた。店から彼女がガッツポーズで出てきた。何とその日、「釣りのためのライセンスは不要!」とのGood News。さいふも天気も絶好調の好スタート。
 カナナスキスの雄大な自然の中に私たちの漁場は見つかった。どんな絵の具でも描写できそうもないくらいに透き通った水。夏のまぶしいばかりの陽光がダンスを楽しんでいるようににぎやかに反射してくる。光の向こうに、いるわ、いるわ!見事な「マス」の群れ!時折こちらを挑発しているかのようにピョーンと飛び跳ねる。彼女の表情が獲物の姿を捕らえた漁師の顔に変わった。餌のミミズを手早く付けた。私はこの作業を終日彼女にやってもらった。都会育ち(九州は鹿児島)の私には、どうもこの種の軟体動物は苦手である。
 水に投げ入れられた餌に向かって、待ってましたとばかりに群れをなしてマスが飛び掛ってくる。食らいつかれたと同時に、彼女が即座に竿を引き、リールを巻く。でっかい!器用に針を抜き、簡易の水槽に獲物を泳がす。「では、次はToshi!」ということで、竿を渡される。キンチョウの夏!

 教えられた通りに、思いっきり遠くへ…飛んでくれなかった。ミミズは申し訳無さそうに、竿の先でからまったまま左右にむなしく揺れている。いろんな生徒を忍耐を持って教えている彼女は、ここでも忍耐を発揮。再度教えてくれた。でも、再度打ち上げ失敗。「あそこのマスに向かって、投げマス。そうしマスと釣れマス、だから、マスマス…。」と思いきり寒いジョークでめげそうになる私を励ますけなげな彼女。“Practice makes perfect”は真実だった。目的地に見事着水したミミズは、その使命を果たし、大きな獲物を連れて戻ってきた。ここで問題発生。何と、マスが釣り師の私とどこまで似たのか、貪欲過ぎて針を奥深くに飲みこんでしまっていた。「このままでは長くは生きられない」と判断した彼女。ペンチを取り出し、捕まえているマスの頭部をコツン、コツンと叩き始めた。Oh! 私が初めて捕らえたマス。釣った瞬間目と目があったマス。それが今、必死に彼女の迫害の手から逃れようとしている。「釣りはやはり格闘技なのか?いや、情けは禁物!我らが生きる為なり!」なんて考えていた。そんな悠長な思いをよそに、彼女の手際良い作業が続く。実にたくましい限りである。結局私2匹、彼女4匹。夕飯のBBQには丁度よい成果。いろんな思いで釣った魚も「おいし〜い!」の感激の言葉と共に、皆のお腹の中に無事納まってしまった。

何回失敗しても大丈夫!あなたを励ます聖書の言葉:

『正しい者は七たび倒れても、また起き上がるからだ』(旧約聖書 箴言24章16節)

A righteous man may fall seven times And rise again.

 
 一覧  前へ 次へ